二月一五日 「黒と白」

光は身近であって、だけれどもなかなか見えにくいものだ。

僕自身休業した半年間がなかったら「光」を作ろうとは思わなかったし、ここまで光について想いを巡らすこともなかったかもしれない。

孤独と闇

聞いても見ても、書いても、良い印象は受けない字面だ。

だけれども光は必ずここに存在していた。

わずかでもほんの一握りでも見えていれば大丈夫。そんな一筋の光は隙間から木漏れ日のように広がっていく。そんな尊い光をどうやったらパンとして形にできるのか、あまり難しいはなくて、シンプルに、簡単に、頭よりも手が動くように作っていきたい。先人達が僕らに繋いでくれたパンというものを。それだけでも光輝くものを。

………………………

パンデピスは目を瞑ってふと浮かんでくる色は黒と白だ。見た目は真っ黒なのだけれどもなんで白が浮かんだのか不思議だった。

パンデピスのルーツを辿ると生命の食糧と書いてある文献があったり古くは十字軍の遠征で兵士達の食糧として携帯されていたといつ歴史もある。何よりフランスにいた時に僕がパンデピスと出会うのは決まって教会だった。本当に質素なのだけれども一切れ食べると身体も心も満たされる、そして明日への気力が湧いてくるような、エネルギー溢れるものだった。そんなパンデピスをひたすらに追っているのかもしれない。そうしているうちに結局は自分のものになっていくんだろう。その過程も楽しみたい。

「光」に入れるパンデピスはもっともっとシンプルにそして質素に。華やかな美味しさは求めていなくて、毎日食べられる、何より職人が作り続けられるように。

そして、母が最後に口にしてくれた僕の作ったものだから祈りを込めて。

二月一四日 「光」

大枠は決めているものの詳細は決まっていない。

“光”

どんなものになるんだろうか。

楽しみだ。

これからどこまで光に近づけるのか。

ここ半年で見えた一寸の光を頼りに作っていく。

スペイン巡礼30日目

2017.06.07 (wed) Santiago de Compostela – Negreira (21.3km)

早朝、太陽が昇り始める前に起床。宴の後の余韻も残る中、眠い目を擦りながら最果ての街Fisterraへと向かう準備を始める。

相変わらず朝は肌寒いのでフリースは欠かせない。

サンティアゴに到着したからエンディングロールが流れるわけでもなく、僕らは変わらず歩き始めます。多分みんな同じ気持ちで、歩くことに慣れてしまった日常やそこで出会った仲間ともう少しだけ一緒に痛いんじゃないかな。慣れたと言ってもみんな旅人で一人が基本。こんなに長い時間苦楽を共にする機会なんて世界中探してもあんまりない。

ジェピルさんがビールが好きでカフェに寄るたびに乾杯してる。

ボガディージョは淡白低め、水分少なめ、焼き色白めのバゲットに生ハム挟んだだけのやつ。

サンティアゴからの道のりはボーナス感満載。それもしっかりサンティアゴまで歩き切れたから感じられるのだと思います。楽しいです。

途中、トンネルの向こうは、不思議の街でした。のようなトンネルを通った時はドキドキしてしまった。帰ったらみんな豚になっていないといいけど。

negreiraでは最初に行ったアルベルゲはもう満室で、そこでホスピタレイロから、日本人の男の子が一番に到着したよ。その子は100キロぐらい歩いて来たよ。と笑いながら教えてくれた。名前を聞くとlos condesnegreiraで会ったまさきくんだった。連絡は時々とっていたけど、ここで会えるとは思っていなかった。きっとまた会えると思って僕らは別のアルベルゲを目指した。

私営のアルベルゲへ。12ユーロ。かなり広くて巡礼者も多すぎなくていい感じだ。スーパーで食材買ってアルベルゲのキッチンでみんなで料理。これで5ユーロぐらい。人と一緒の方が楽しく安くお腹いっぱい。久々に食べるお米は沁みますね〜。

スペイン巡礼29日目

2017.06.06 (tue) Pedrouzo – Santiago de Compostela (21.5km)

お昼前にサンティアゴに着いた。とりあえずカテドラルを目指す。丁度カテドラルは工事中だった。ガウディ状態と呼ぼう。

何か込み上げるものとかはなくて、毎日歩いてきて、目的地まで到着して、その中の1つの街に変わりない。

登録所は長蛇の列だ。ところどころであったひとたちが笑いかけてくれたり握手してくれたり、ハグしてくれたり。

カテドラルの前でみんなで称え合った。ドンさんが一人一人にハグしてお別れしてくれた。

ジェピルさんのお友達のトルコ人の絵描きさんも交えて昼間っから軽く呑みました。彼はレオンからアラゴンの道に進んだそうだ。雨ばかりの山道で過酷だった話や動物のうんこに足突っ込んだ話を聞かせてくれた。写真もたくさん撮っていて誇らしげに見せてくれた。フランス人の道とは全然違う表情の景色ばかりでどれも美しかった。いいなぁ。またいつかの機会に歩こう。

いびきに耐えた同士であるトルコ人カップルとも再開できた。

スペイン巡礼はキリストに所以がある道だ。歩いて見て思うのはみんなそんな深く考えて歩き始めてない。むしろ歩きながら考えるのです。風の音を聞きながら、コウノトリのさえずりを聞きながら、同じ巡礼者と談笑しながら、みんなそのたわいもない道程の中考えるのです。瞑想するように、修行するように、遊ぶように。

レオンで話したおじさんに今なら堂々と話なんで歩いているか話せる。考えるために歩くんだよ。それなら早いうちのがいいでしょ。考えたことを実際にやってみる時間が増えるんだからさ。チャンスが増えるんだよ。時間は帰ってこないしね、って。

夜はフミエさん、ソフィー、ジェピルさん、トルコ人の絵描きさんで飲み歩いた。

たまたま最後に入ったバルがドリアン田村さんも訪れていたバルだと最近になって気づいた。

僕らはもう少し歩きます。大西洋を目指して。

スペイン巡礼28日目

2017.06.05 (mon) Arzúa – Pedrouzo (20.1km)

ガリシアで迎える朝は決まって霧がかかっている。その霧が晴れた後の空はどこか懐かしい空でサンティアゴが近づくにつれておろおろそわそわする気持ちを落ち着かせてくれる。

まだサンティアゴに着いたわけではないけど歩いている巡礼者達はどこか祝福ムードが漂っている。

フミエさんと一緒にせっかくだからサンティアゴを目指すことに。

Arzúaの街中で昨日一緒にご飯を食べた韓国人のソフィーと再会。一緒に朝ごはんを食べにカフェに入った。

ソフィーも世界一周中で写真を撮りながらのんびり回っているみたいだ。

しばらく一人だったから誰かと歩くのが新鮮で楽しい。自然と写真の枚数も増えるしいい写真が撮れる。

半分くらい歩いてお昼休憩のカフェでまたまたドンさんと嬉しい再会。一緒にいた韓国人のジェピルさんが面白すぎる。なぜかいろんな巡礼者が彼を知っている。ジェピルさんの人柄だ。全然英語話せないんだけど片言の英語をこれが俺の英語だー!と言わんばかりに堂々と話している。これは僕ら日本人が参考にすべき大切なことです。簡潔に、簡単な英語で、笑顔で、大きな声で。

ジェピルさんのおかげで僕の英語は進化したしその後の旅でも大いに役に立ってくれた。

そして普段ちょーふざけているジェピルさんだけど韓国ではバリバリのプログラマーなのです。ストレス半端ないらしです。。労働時間も長いって。。そのストレスを運動で解消するために巡礼しているとか。去年レオンまで歩いて今年はマドリッドから歩き始めたんだって。巡礼者いなさ過ぎ、アルベルゲはあるけど周りに何もなさすぎて街でしこたまワインを買っては重い荷物を背負いアルベルゲまで歩いて一人で飲んでいたみたいです。うさぎしか歩いていなかったっていう話とか日本のジョークが通じるところとか面白すぎる。

Pedrouzoに着くとやはり巡礼者が多い。みんなここで泊まって明日サンティアゴを目指すのだ。

二段ベッドの上が僕の寝床だったけど、下のフランス人のいびきが半端なくて近くのトルコ人カップルと顔を見合わせて検討を誓った。

夜は自然とキッチンに集まったメンバーで料理してリオハワインあけて到着前祝いをしました。

締めは辛ラーメンでした。

明日、サンティアゴに到着です。

スペイン巡礼27日目

2017.06.04 (sun) Palas de Rei – Arzúa (28.3km)

雨の次の日は本当に美しい空が広がっている。運がいいのか巡礼中は数えるほどしか雨に合わなかった。

いつも空は綺麗なんだけど、雨の日の翌日の空は格別でもう少し雨降ってよ〜、と思うほどだ。

この辺の地域は小麦の刈り取りは終わっていて新芽が顔を覗かせている。これだけ移動すると作物の生育状況も東と西では大違いだ。

途中、日本人のフミエさんと遭遇。本当に久しぶりに日本人と出会ってホッとした。

そしてフミエさんは非常にフレンドリーかつ、デキる女性感マックスなので尚更心強いです。

フミエさんは日本で自然派な歯医者さんで歯科衛生士をしているのです。そして世界一周中のスペイン巡礼中という強者です。

歯医者さんにもそれぞれ流派があって自分に合う、合わないで働く場所を決めている、ヨーロッパはいろんな歯磨き粉があってかいまくってる、友達がピレネーで死にかけた、など久しぶりの日本談義で盛り上がりました。フミエさんがピレネー歩いたのは僕が歩き始める一週間前とかだったみたいですが大雪で、フミエさんの友人が重度の凍傷になってしまったそうです。なんとかアルベルゲまで到着して命に別状はなかったようですが、、途中持っていたチョコを食べさせて眠ったら死ぬぞー!と何度も励ましたそうです。

人ごとではないなぁと気を引き締めました。

Arzúaで韓国人のソフィアとドンさんと仲良くなりそのまま昼呑みに突入しました。なんか大事な話をドンさんがしてくれた気がしますが忘れました。あんまし大事じゃなかったんだと思います。

ビールで乾杯!少しタパスを頼んで、久々にノンエチケットのワインあけました。やっぱり美味しいです。ブランドってなんなんでしょうか。もっとシンプルにシンプルに、本質だけを突き詰めていきたいです。

夜はがっつり巡礼者定食。豆のスープが疲れた体に染み渡ります。パンもみてください、この軽さ。やっぱり食べやすい。日本人にはガリシアのパンが合います。

パンがその土地で自然とその土地にフィットしている感じ、自然ですね〜。

スペイン巡礼26日目

2017.06.03 (sat) Portomarín – Palas de Rei (26.3km)

早朝から雨。さらに湿度が高く感じる。雨の日は写真少ないな。一人だと急いで歩いちゃうなぁ。 記憶も顕著に薄め。多分それだけ無心で歩いてる。かなり雨強かった。

プリングルスのカッパは斬新すぎるけど顔濃いめの人が着るとダサいというか可愛い。少しかっこよくて羨ましい。プリングルおじさんが外国人だからかな。

ヨーロッパのオムレツサンドはバゲットで。カリッ、ザク、ふにゃ、の三重奏。食パンよりこっちが好き。卵焼きサンドはヨーロッパからの逆輸入だ。パンもやっぱり温故知新だ。

石畳の塀が増えた。湿度と関係があるのかな。石畳好きなので写真が自然と増えます。一番好きなのは砂浜の小石だけど。

スーパーでハムを買って食料補給。

量り売りが普通という感覚が当たり前になってきた。作業は増えるけど、無駄も少ないし、何よりそのものの価値が可視化できるのがいい。売る人がいなければ買えないんだ、と考えてしまいます。この感覚は日本ではなかなか感じられません。

サンティアゴまで100キロを切りました。少しそわそわしてきています。

薪火野 中山大輔